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2016.11.03

明日のつくば

私が生まれ育った谷田部は、賑わいのあるまちだった。地域の文化祭や祭も華々しく行われていて、胸躍らせて出かけたものだ。高校生の時、母方の実家の廃棄物収集業のアルバイトをしている際に産業技術総合研究所(旧工業技術院)の地下に共同溝が埋設されているのを見る機会があった。電線や通信ケーブルなどが地下通路に集約されて繋がっているのを見た時に「こういうすごいものがつくばのあちこちにできて、すごい未来がやってくる」と感動したのを覚えている。
あれから35年以上が過ぎ、私は地元の区長会長を任せてもらうようになった。住民の皆さんから聞こえてくるのはちょっとした買い物に行くにもタクシーを利用するなど、いわゆる買い物難民状態だということ。「科学の街」つくば市にあっても日本社会の抱かえる少子高齢化の問題から逃れることはできていないのだ。子育て世代の不在、社会を支える働く世代の不在が、ますます地域を疲弊させていく。
つくば市全体では人口が増えているにも関わらず、谷田部をはじめとする旧市街地では人口が減少している。それなのに学園地域の再開発計画は進み、旧市街地は都市計画からも外されているのが現状だ。このままでは、高校生の時に夢見た未来どころか、谷田部や旧市街地が消滅都市化してしまうのではないか。
ものごとには自然の力にまかせるしかないこともあるだろう。しかし、このまま何もせずにあきらめた街にするか、住んでいる人たちが声をあげて何かを始めるかでは、未来が大きく変わる。自分の住む地域の未来は、自分たちの動きで変えることができると信じている。私は行動をおこして、少しでも次世代が暮らしやすい地域づくりを目指したい。今を生きる私たちが、未来を生きる子や孫のために豊かな地域を残してあげられるよう、精一杯あがいていきたい。どうぞ、よろしくお願いします。