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2016.11.04

つくばについて①

改めて自分の住むつくばについて振り返ってみる。1963年(昭和38年)の閣議において研究学園都市がこの「筑波」の地に建設されることが決定され、東京の過密緩和・科学技術の振興と高等教育の充実を目的とした新都市建設が国家プロジェクトとして動き出した。1987年(昭和62年)には大穂町・豊里町・桜村・谷田部町が合併し、つくば市が誕生。1988年(昭和63年)に筑波町が編入合併、2002年(平成14年)に茎崎町を編入合併して現在のつくば市になり、2012年(平成24年)には市制25周年記念事業が行われた。

その間、研究学園都市概成、常磐自動車道開通、国際科学万博博覧会開催、TX開通、圏央道の一部開通などがあった。これほど定期的かつ断続的に社会資本が投入された地域は、おそらく全国でもつくば以外にないと思う。私たちはそうした恵まれた地域に暮らしているのだ。しかしながら、前回も書いたように旧市街地には買い物難民状態の住民が増えている。

TXの開通で東京圏からのアクセスは向上したが、人口の流れは沿線開発地域への集中型に変わってきている。今後は旧市街地における高齢化や人口減少、商業施設が少ないなどの問題に対応して行く事が急務だと思う。

人は必ず年をとる。1年たてば1歳、10年たてば10歳、30年たてば30歳。私も今から30年後には84歳になっているはずだ。84歳の自分を想像した時に、最低限、生活に必要な病院や公共施設、商業施設などの機能が近接した「コンパクトシティ政策」は、今始めないといけない政策の一つであると強く感じている。

つくばについて②

筑波山の麓に研究学園都市構想が閣議決定されて約50年。私も50歳を越え、まさに学園都市の成長とともに生きてきた人生だ、と最近思うことがある。私が生まれ育った谷田部町は、開発の為に真っ先に土地を提供した町であり、つくば科学万博博覧会の中心地でもあった。現在の谷田部地区は、つくば市の南玄関口に位置し、周辺には豊かな田園環境や農村集落が隣接している。

この谷田部でコンパクトシティ政策を実現するのに必要なのは病院や公共施設を結ぶ道路ではないかと思う。例えば開発が進むTXみどりの駅周辺地区(公共施設、商店有)と旧市街地である谷田部地区(公共施設、商店減少)の間に最先端の科学技術を集約したセグウェイや自動運転自動車などの専用道路を作り、近未来的な道路で結ぶのだ。近未来と書いたが、それは決して遠い先の話ではない。某テーマパークでは膨大な私有地を利用して、セグウェイなどの「モビリティロボット」の実証実験が行われ、一部では実用されている。これは私有地ならではの特典だが、「科学のまち」と称されるつくばなら、全国に先駆けて自治体独自のインフラ整備を行うべきだと思っている。つくばの住人が科学の力を実感できる街になってこそ本当の「科学のまち」になれるのでなないだろうか。

今から10年後の2025年以降、日本人の4人に1人が75歳以上という超高齢化社会が到来するという。公共交通機関の在り方について考えなければならない時期にきているのは、つくばやその中の谷田部に限ったことではない。科学技術の粋を集め、高齢者にやさしい地域をつくることを、ここつくばから全国に発信していきたい。

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つくばについて③

つくばは、研究機関が集約された街であり、筑波山をはじめとする豊かな自然もある。TXを活用し、多くの人が集まり、中核的な都市として発展していく街だと思う。私はつくばが発展する中で地域間格差を小さくしていくことがつくば全体の活性化につながると考えている。

前回書いた独自のインフラ整備を旧市街地に点々と誕生させることで、その地域が注目され、人が集まるまちづくりにつながるだろう。高齢者に優しい街は、子供にも、子育て中の世代にも優しい街となり、人が集まれば雇用が生まれ、ビジネスチャンスも増える。たとえ旧市街地に職場が無くても、暮らすのに快適であれば住人も増えるはずだ。旧市街地に暮らし研究学園地区に通勤する、そんな人たちが増えれば旧市街地と研究学園都市との架け橋の役割を担ってくれる。

小売業がチェーン展開をする場合に、特定地域内に集中した店舗展開を行うことで経営効率を高め、地域内でのシェアを拡大し、他小売業の優位に立つことを狙うドミナント戦略をとる傾向にあるが、旧市街地のまちづくりも同じように、部分的に集中して開発整備を行い、その地域内での生活水準をあげることで住民を増やし、少子高齢化の歯止めにつなぐことができるのではないかと考える。ここで重要なのはドミナントエリアの持つ商圏特性をもとにセグメント化し、そのセグメントごとに適正な店舗モデルを準備することだが、つくばにおいても旧大穂町・豊里町・桜村・谷田部町・筑波町・茎崎町それぞれに地域特性がある。その地域にあった科学技術とのコラボレーションができれば、つくば全体がドミナント地区としての完成を見る。ドミナント戦略の基本は、出店エリアでのお客様への価値提供にある。エリアの特性を的確に読み取り、それを住環境にいかに組み込んでゆくかが重要だ。歴史ある筑波と新しいつくばの魅力を一つずつ掘り起こしていきたい。